年齢、国籍、人種、ジェンダー、障がいなどが制約にならない社会へ。多様な人材が活躍するために求められることは何でしょうか。
3030
2030年には指導的地位につく女性を30%以上*6に。これを最低限の目標とし、誰もが性別にとらわれず活躍できる社会の実現が望まれます。女性の正規雇用の割合と管理職の女性比率を上げるには、経営層が意識を変え、制度をリデザインしていくことが必須です。ジェンダー・ギャップ指数*7の順位が低迷する最大の原因である経済分野において、ジェンダー平等に取り組むことは急務です。
オルタナティブな入り口設計
新卒一括採用という慣習が根付く日本には、職業への門戸が排他的であるという課題があります。海外に目を向けると、例えばイギリスの「アプレンティスシップ制度」では、ある職業に必要なスキルを現場で習得しながら同時に給与を得ることができます。企業にとってもスキルギャップの解消や人材の多様性確保につながるため、政府からも奨励されています。他国の事例を参考に、画一的でないキャリアへの入り口を設計していく必要があるでしょう。
日本版リスキル革命
これから社会で必要が高まると予想されるスキルの学び直し、すなわち「リスキル」に注目が集まっています。特に、ミドル・シニア世代での専門性の変更やスキルのアップデート、転業を支援するしくみが望まれます。世界経済フォーラムが「リスキリング革命プラットフォーム」を構築し、シンガポールでもスキルチェンジのためのプログラム*8が始動しています。日本においても、働き続けたいすべての世代の人や再就職を希望する人へのリスキル支援、そして習得したスキルをマッチングする社会システムの整備が期待されます。
リバースメンタリング
近年、部下が上司のメンター(相談役)となって助言をするという「リバースメンタリング」に注目が集まっています。台湾では、35歳以下のソーシャルイノベーターが複数人、大臣の「リバースメンター」として任命される制度があり、政府に新しい価値観を反映させています。日本でもベテランが若い世代から知恵や助言をもらう仕組みを取り入れる企業が外資系を中心として増えてきました。目まぐるしく変化する時代においては、これまでのやり方だけではうまくいかないケースも出てきます。新しい価値観を柔軟に採り入れるために、立場や世代を超えたコミュニケーションが有効でしょう。
テレパラワーク
コロナ危機をきっかけに、テレワークという働き方がさまざまな業種・職種に広がりました。テレワークの普及は、通勤に困難を感じるような障がいをもつ人びとの就業機会を広げる可能性も秘めています。2021年3月、民間企業での障がい者の法定雇用率は2.3%に引き上げられます。「一緒に」という意味のギリシャ語である「パラ」という言葉のとおり、障がいの有無に関係なく、多様な人材が一緒に働ける社会の実現が求められます。