道具的サポート+情緒的サポート
地域の話以前に、母親に対するパートナーの「情緒的サポート」があまり十分ではないということも見えてきました。専門的には、おむつ替えとか入浴みたいなものを「道具的サポート」、そうではなくて、励ましたり、愚痴を聴いたりというようなことを「情緒的サポート」といいますが、「情緒的サポート」の得点がすごく低くなっていたんですね。「情緒的サポート」が自然と促されるためには、生まれる前からフォローしていくことも大事なのではと思っています。そしてそれはパートナーだけに期待される役割ではありません。周りに子どもを預けられる人がいることや子育て支援施設等に行けることが、不安を抑えたりメンタルヘルスを良好にしたりする可能性も示唆されています。また周辺に知り合いや多様な居場所を持っている人ほど定住志向があるということも見えてきました。

さあ、なにをする?なにができる?
人生において身近な生活圏、地域と深く関わるチャンスは、大きく3回あります。生まれた直後から小学校ぐらいの時期、それから自分の子どもがそのくらいの時期、そして高齢者になって自治会や町内会活動に入っていくといった時期。この3つの時期の世代が、同じまち、同じ小さなテリトリーを共有しているともいえるわけです。
人生において地域と関わりを深める
チャンスは3回


「高齢者」というのも一つのキーワードかもしれません。といっても構える必要はなく、お散歩に行けば話しかけてもらえる「公共じいちゃん」や「公共ばあちゃん」になってくれるだけでも十分ですし、知識・経験を活かして見守り役になったりしてくれる地域のシニア層をつくって、それが生きがいにつながるのもよいと思います。
子どもと保護者自身の安心醸成にとって「まちとの関わり」が大事であることを、どの段階で、誰がどう働きかけて知ってもらうかはとても重要です。職場や企業にできることは何か?ということも、さまざまな立場の方とお話ししていきたいですね。